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不動産投資で経費に計上できる項目は?適正な申告のポイントや注意点も解説

2026.09.17

不動産投資を成功させるためには、家賃収入を増やすだけでなく、適切な税金対策も大切です。不動産投資では、家賃収入から経費を差し引いた額に税金がかかります。そのため、何が経費になるのかを正しく理解することが適切な申告をするための重要なポイントです。

本記事では、不動産投資を始める前に覚えておきたい経費の正しい知識から適切な税金対策のポイントまでを解説します。

まず経費とは何?

不動産投資での経費とは、家賃収入を得るために必要な支出のことです。たとえば、修繕費や固定資産税、保険料などがあたります。

個人が確定申告をする際、収入から経費を引いた所得をもとに税額が決まるため、経費の把握は税金の計算に直結する要素です。ただし、全てが経費にできるわけではありません。あくまで、不動産投資に関係する支出かどうかが判断の基準です。

必要な経費を正しく計上できるかが、大切になってきます。

経費計上が節税につながる仕組み

不動産投資で経費の計上が重要となる理由は、課税対象となる「所得(利益)」を正しく計算し、税負担を適正に抑えられるからです。所得税や住民税は、収入からさまざまな控除や経費を引いた後の課税所得に対して課されます。不動産投資では、家賃収入から経費を差し引いた利益をもとに計算するため、しっかりと経費計上を行えば手元に残る利益を適正に守ることができます。

たとえば、家賃収入が年間500万円あり経費を450万円とすると、残り50万円が課税の対象部分になります。

また、サラリーマンの場合は、給与所得と不動産所得を合わせて税金の計算をする「損益通算」制度の利用が可能です。不動産投資の所得がマイナスになった場合でも、マイナス分を給与所得から差し引いて計算するため、所得税の還付を受けられる可能性があります。

不動産による所得の計算方法

不動産の所得は、以下の式で計算します。

不動産所得=総収入金額-必要経費

総収入金額には、毎月の家賃収入に加えて礼金や更新料などが含まれます。そして、総収入金額から引かれる経費としては、管理費・固定資産税・減価償却費などが代表的です。経費は種類が多く迷いやすいため、あらかじめ勉強して理解する必要があります。

また、計算後の不動産所得がマイナスの場合は、給与所得と合算して税負担の軽減が可能です。

不動産投資における経費計上項目

管理費・管理委託料

共用部分の清掃や、設備の保守・点検などは、管理費として経費への計上が可能です。また、物件の管理を不動産管理会社に委託する場合には、管理委託料として支払いを行います。

管理委託料として認められる項目に挙げられるのが、入居者の募集や対応・家賃の集金・設備トラブルの対応を代行してもらう対価などです。一般的に家賃収入の3〜5%程度が相場ですが、客付けに強い会社やフルサポートの会社では5〜10%となることもあります。

ローンの利息(借入金利子)

金融機関から融資を受けて不動産の購入をしている場合、毎月のローン返済のうち利息部分は経費として認められます。対象は、設備を含む建物と土地で、ローンの元金は経費になりませんが、利息部分は経費になります。

ただし、不動産所得が赤字になった場合、「土地の取得にかかった借入金の利子」については、他の所得(給与所得など)と損益通算ができないというルールがあります。つまり、不動産所得が赤字になっても、土地の利息分は給与所得から差し引けないため注意が必要です。

固定資産税・都市計画税

固定資産税と都市計画税は、毎年1月1日時点で土地や建物を所有している場合に課せられる税金です。収入に関係なく発生する費用で、全額を経費として計上ができます。

固定資産税は、固定資産課税台帳に登録されている価格の1.4%、都市計画税は0.3%が目安です。マンションやアパートなどは取得費用が高額になりがちなので、納付書をもとに金額を確認し、確定申告時に忘れず申告しましょう。

保険料(火災保険・地震保険など)

建物に加入している火災保険や地震保険も、経費として計上が可能です。ただし、数年分をまとめて支払う長期契約の場合は、それぞれの年に対応する分のみを経費として計上する必要があります。たとえば、5年分の保険料を一括で支払った場合、申告年度分だけが計上できる経費です。

また、団体信用生命保険(団信)は、一般的にローン金利に含まれているため、実質的に利息の一部として経費化されています。そのほか、アパートやマンション経営特有の「孤独死保険」なども経費として計上可能です。

修繕費

建物・設備の原状回復や維持を目的とした修理費は、経費として認められます。外壁の塗り直し・給排水管の修理、エアコンや給湯器の交換などが代表的な例です。一方で、修繕の内容次第では、経費として扱われないケースもあります。

たとえば、リノベーションのような物件の価値を高めるための費用は、資本的支出に分類される支出です。そのため、修繕費ではなく資産として計上され、減価償却によって数年に分けて経費化していきます。

修繕か資本的支出かは、金額と内容によって判断が分かれるため、不明な場合は専門家へ相談してみてください。

減価償却費

建物は、時間の経過とともに価値が下がるという考えに基づいて、購入費用を法定耐用年数に応じて毎年少しずつ経費に計上できます。毎年の出費は発生しませんが、経費として計上できるため、税負担を適正に抑える効果が高い項目です。

法定耐用年数は、アパートなら木造が22年、鉄筋コンクリート造なら47年と、構造によって違います。なお、土地は経年劣化をしないので、購入費用に対して減価償却はしません。減価償却の対象は、建物のみとなります。

司法書士・税理士などへの報酬

アパートやマンションの経営に関係する司法書士や税理士への報酬は、経費として計上ができます。たとえば、税理士への確定申告の手続き作業や司法書士への登記依頼などは対象です。

さらに、専門家へ依頼すると節税漏れを防げるメリットもあるため、費用対効果は高いといえます。とくに、税金関係の処理に自信がない場合は、積極的に活用してみてください。

ほかにも、不動産鑑定士による不動産価値の査定や、弁護士へのトラブル対応依頼など、幅広い費用が経費として認められます。

広告費・入居者募集費用

入居者を募集するために仲介会社へ支払う広告費用や仲介手数料なども、不動産投資における経費です。広告費は、入居付けをするための役割として扱われます。

仲介手数料は、入居者が決まった際に仲介をした会社へ支払う費用であり、経費で計上できます。

印紙税

不動産の売買契約書やローン契約書などに使用する収入印紙の費用は、租税公課として経費になります。費用は、契約書に記載された金額によって変わりますが、数千〜数万程度が一般的です。計上の根拠となるため、収入印紙を貼付した契約書の写しを大切に保管しておきましょう。

また、収入印紙を購入して保管している段階では「貯蔵品」扱いとなり、経費にはなりません。実際に契約書に貼り付け、使用してはじめて経費として認められる点に注意しましょう。

不動産取得税

不動産取得税は、物件を購入した年に一度だけかかる税金で、固定資産税の評価額をもとに算出されます。租税公課の勘定科目で、経費計上が可能な税金です。取得後3〜6ヵ月ほどで納税通知書がくるので、大切に保管しておいてください。

不動産取得税は納税額が大きいため、経費として計上した際の所得圧縮効果(節税効果)が高くなります。忘れずに申告しましょう。

よくある認められない経費一覧

ローン返済の元金

不動産購入で借りたお金の返済分のうち、元金部分は経費として認められていません。経費として認められるのは、返済額の利息にあたる部分のみです。

元金と利息どちらもローン返済経費として考えがちですが、元金返済は物件の購入費用を返済しているだけなので、借金の返済として扱われます。経費を計上する際に間違えやすい項目なので、しっかりと性質を理解して対応しましょう。

所得税・住民税

同じ税金ですが、所得税や住民税は固定資産税と違い、経費として認められていません。理由としては、各税金のもつ性質が違うためです。

前提として、経費は事業で収益を得るために必要な支出であることが条件にあります。

固定資産税は、不動産の所有に対して課せられる税金のため、経費として計上が可能です。一方で、所得税や住民税は、個人で得た利益に対する税金なので、経費として認められません。

このように、事業に関係があるように思える税金でも、経費に当てはまらない場合があるため、注意する必要があります。

ジムの会費

ジムの会費は、原則として不動産投資の経費には認められません。仕事のストレス解消や健康維持を目的としていても、ジムは趣味や娯楽としての要素が強く、不動産投資と直接関係のある支出とはみなされないためです。

また、個人事業主の場合は「福利厚生費」という概念がない点も理由に挙げられます。一方で、法人化しており、家族以外の従業員がいるケースに限り、福利厚生費として計上できる場合があります。

資格取得費用

賃貸不動産経営管理士や宅建士など、不動産投資に関する資格を取得するためでも、資格取得費用は経費とみなされません。不動産投資以外でも長期にわたって効果があるので、個人のスキルアップとしてみなされます。

なお、毎年更新を必要とする資格の場合は、経費にできる場合もあります。

同じ勉強でも、書籍代やコンサルティング料が経費として認められるため間違いやすいですが、しっかりと把握して対応しましょう。

スーツ・時計代

不動産会社や金融機関との打ち合わせ用としても、スーツや時計代は経費にはならないので注意してください。理由としては、ファッションアイテムとしてみられやすいからです。例外として、制服として用いられるスーツやスーツが必要な特定の職業の場合のみ、認められる可能性があります。

同じくバッグや靴も私生活で着用できるので個人消費とみなされ、不動産投資用として扱われません。身につける衣服や装飾品は、経費として計上できる可能性は低いと言えるでしょう。

判断に迷いやすい経費

車(自家用車)の費用

自家用車の経費計上は、不動産投資との関連性と使用割合によって、経費として認められるかどうかが変わります。

認められるケース
物件の確認や、管理会社との打ち合わせをする場合などは、認められる可能性があります。不動産投資に必要な業務として使用した走行分は、ガソリン代・高速代・駐車場代などを業務使用割合として、按分が可能です。たとえば、年間の走行距離のうち30%が不動産投資関連であれば、30%分を業務に必要な支出として経費にできます。

認められないケース
旅行や不動産投資に関係のない外出など、プライベートの外出に使用していると考えられる費用に対しては、経費計上ができません。また、按分の根拠となる記録(走行日誌や領収書など)がないまま確定申告をした際、税務調査で否認されるリスクがあります。業務使用の証拠を確実に示せるよう、普段から使用記録を細かく残しておくことが重要です。

工事費用

不動産投資における工事費用は、修繕費か資本的支出かによって、経費の扱いが異なります。

認められるケース
壊れた箇所を元の状態に戻す原状回復工事や、仕様の変更がなく定期的に行う外壁塗装と壁紙の張替えは、修繕費として全額を一括で経費計上できます。費用が20万円未満、または3年以内の短い周期で行われる工事も同様に修繕費として扱われます。

認められないケース
物件の資産価値を高めるための工事や、設備や機能がグレードアップする工事は、資本的支出です。当てはまる場合、工事費用は一括で経費計上することはできず、法定耐用年数に従い毎年減価償却費として計上します。

効果的に節税をしたい場合は、工事内容が修繕費に該当するかどうかを事前に確認しておくことが重要です。

不動産投資での適切な申告ポイントと注意点

青色申告の活用

確定申告には白色申告と青色申告がありますが、不動産投資で節税効果を受けたい場合は青色申告がおすすめです。青色申告には青色申告特別控除があり、事業的規模でない場合は10万円、事業的規模なら55万円を所得から差し引けます。

さらに、e-Taxまたは電子帳簿保存の要件を満たすと65万円の控除が可能です。

事業的規模の基準は、戸建ては5棟以上でマンション・アパートは10室以上の貸付けが条件です。

さらに、不動産所得で赤字が発生した場合に繰り越せたり、家賃滞納時に一定額を経費にできたりなどのメリットがあります。白色申告に比べて手間がかかりますが、クラウド会計ソフトを使えば、初心者でも比較的簡単に作成が可能です。

減価償却の活用

減価償却は、実際の出費が伴わないのに、経費として計上できるのがメリットです。計上することで利益部分にかかる税金を減らせるため、大幅な節税効果が期待できます。

とくに、中古物件の場合は法定耐用年数が短くなっているため、短期間で大きな金額を減価償却費として計上が可能です。

不動産投資の前に経費を予想しておくことが重要な理由

不動産投資を始める前に、経費の計算をしっかりとしておくことで、収益の安定化につながります。なぜなら、家賃収入だけを追っていってもそれは表面的な収益であって、裏で発生するコストによってマイナスになる恐れがあるからです。

たとえば、家賃収入があっても、管理費・修繕費・固定資産税などを差し引くと、手元に残るお金が想像より少ないということは珍しくありません。とくに、突発的に発生する修繕費のような出費は予測が難しく、トラブルや設備の故障が重なると数十万円単位の出費になることもあります。

そのため、経費の見積もりが甘いと家賃収入があるにもかかわらず手元資金が不足し、ローン返済に苦しむ事態になりかねません。

不動産投資で成功するためには、投資前に収支シミュレーションを作成し、年間の経費総額と手残りキャッシュの試算が大事です。経費の予想がしっかりとしていれば、資金繰りに困ることなく、安定した運用も目指せます。

不動産投資の経費に関するよくある質問

Q経費の上限はいくらまで?

A

不動産投資を含め、経費計上には法律上の上限金額は定められていません。不動産投資に関係する費用なら全て計上できます。ただし、家賃収入の規模に対して過大な経費を計上している場合、税務署から確認や指摘を受ける可能性があります。

あくまで、実際に支出した業務上必要な費用が経費の対象です。架空の経費や過剰な按分による水増しは、行わないようにしてください。経費は事実にもとづいて、正確に計上する心がけが大切です。

Q不動産投資がサラリーマンの税金対策になる理由は?

A

サラリーマンが不動産投資をすることで全体の税金が適正化される主な理由は、損益通算ができる点にあります。サラリーマンの損益通算は、給与所得と不動産所得を合算できるのが特徴です。不動産所得で赤字(マイナス)が出た場合、その分を給与所得から差し引いて課税対象額を減らせるため、所得税・住民税の軽減につながります。

また、減価償却費は実際のお金の支出がなくても経費として計上できるため、帳簿上の所得を下げやすいという特徴もあります。

Q経費の領収書はどのくらい保存しておくべき?

A

確定申告で使用した書類や領収書の保存期間は、青色申告の場合で7年間、白色申告の場合は5年間です。税務調査では、基本的に過去3年間の調査を行います。もし、なにかしらの問題が発見された場合には、5年や7年前まで遡るケースも考えられます。

青色申告の場合は7年間(赤字の繰越控除を受ける場合は10年間)の保存義務があります。また、2024年から完全義務化された「電子帳簿保存法」により、メールやネット通販で受け取った電子領収書は、原則として紙での保存は認められず、一定のルールに基づきデータ(電子データ)のまま保存することが義務付けられています。

まとめ

不動産投資で経費にできるものには、管理費・ローン利息・固定資産税・修繕費・減価償却費など、多数の項目があります。適切に所得を申告することが基本です。一方で、元金返済や自宅の家賃、プライベートの食事代など、経費として認められない項目もあります。

経費の知識をしっかりと身につけることが、不動産投資の成功につながります。

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この記事を書いた人

シノケンプロデュース コンテンツ編集部

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この記事を監修した人

日向 大介

日向 大介(ひゅうが だいすけ)

・株式会社シノケンプロデュース 営業部 マネージャー
・アパートオーナー

2017年に株式会社シノケンプロデュースへ入社。営業部マネージャーとして、数多くのお客様の資産形成やアパート経営の提案に携わる。2023年には自身でも自社アパートを1棟購入し、現役の物件オーナーとなる。

プロとしての専門知識と、一棟オーナーとしてのリアルな経験・目線の両方を活かし、失敗しないアパート経営のノウハウを分かりやすく解説します。