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アパート経営に必要な経費とは?計上方法と節税可能な税金について



節税

アパート経営では毎年さまざまな経費が発生します。しかし、税金が安くなるからといって、無駄な経費を使ってばかりではお金がなくなる一方でしょう。アパート経営で効率よく収益を上げるには、必要経費として認められるものを把握し、適正に計上することが大切です。本記事では、アパート経営に必要となる経費に焦点をあてて、その計上方法と節税可能な税金について解説します。


アパート経営に必要な経費

節税

アパート経営をしていると、時には「この費用が必要経費になるのか」と迷うこともあるでしょう。アパート経営で発生する主な経費の種類と判断基準を紹介します。


アパート経営の経費に計上できるもの

アパート経営をする際に経費として計上できるものには以下のようなものがあります。


租税公課

1.固定資産税・都市計画税

『固定資産税』は、土地や建物を所有しているとかかる税金です。税率は、課税標準額と呼ばれる、税金を計算するうえで基礎となる価格の1.4%です。都市計画税は、課税標準額の0.3%(東京23区の場合)で、都市計画法による市街化区域内にある土地や建物に対してかかります。


2.登録免許税

『登録免許税』は登記の申請時にかかる税金です。物件購入時に移転や、抵当権の設定など登記するときに発生します。


3.印紙税

『印紙税』は収入印紙を貼付する形で支払う税金です。不動産売買契約書や、工事請負契約書、金銭消費貸借証書、ローン契約書など各種契約書に添付します。


4.不動産取得税

『不動産取得税』は土地や建物を取得したときに支払う税金です。アパート経営を始めるために物件を取得したときに支払うことになります。


5.個人事業税

『個人事業税』は不動産所得が290万円を超え、不動産貸付業と認定されたときにかかる税金です。不動産収入から必要経費や各種控除を引いた課税所得金額に対して5%(第1種事業の不動産貸付業の場合)の税金がかかります。


減価償却費

『減価償却費』は、事業に利用する建物や建物付属設備、車両などの減価償却資産を保有しているときに毎年計上できる経費です。建物のような減価償却資産は、購入したときに全額を必要経費として計上すると、多額の損失が発生することになります。そのため、年数の経過により価値が減少した分を使用可能期間で分割して、必要経費として計上する特別な計上方法を行います。

現金の支出が伴わずに、経費として計上できるのが特徴です。例えば、木造アパートの場合は、法定耐用年数が22年と決められており、毎年取得価格の一定の割合を、必要経費として計上していくことになります。償却方法は、「定額法」と「定率法」の2種類です。一般的には、毎年一定額となる定額法で償却しますが、税務署長に届けることで償却方法を選択することもできます。


修繕費、修繕積立金

内装工事や設備の修理費用などは、『修繕費』として全額を必要経費に計上することができます。しかし、規模の大きい改装や価値を高める工事などにかかった費用は、資本的支出として減価償却をすることになるので注意が必要です。

『修繕積立金』は、将来行う大規模な修繕のためのものであり、通常、その工事が完了した年に必要経費に計上します。ただし、管理組合の規約によって支払い義務がある場合や、物件のオーナーへの返還義務がないなど、一定の要件を満たせば、毎年の必要経費に計上することが可能です。


管理費

『管理費』には、管理委託費と賃貸管理代行手数料があります。『管理委託費』は、建物全体の管理を建物管理会社に委託する費用です。『賃貸管理代行手数料』は、入居者の管理を賃貸管理会社に委託する費用となります。


借入の利息

建物にかかるローンの利息は、必要経費になりますが、不動産所得がマイナスとなった場合には、土地にかかる利息に相当する部分は経費に計上できません。不動産所得がプラスの場合、その利益の範囲内であれば土地部分の利息も経費に計上することができます。


損害保険料(火災保険・地震保険)

火災保険料や、地震保険料などアパート経営に関する『損害保険料』は必要経費となります。複数年分を一括で支払った場合には、申告する年度分のみがその年度の経費として計上可能です。


立退き料

建物の賃借人に支払う『立退き料』は、必要経費になります。建物の賃借人に支払う『立退き料』は、必要経費になります。


交通費

アパートへの往復や、不動産会社との打ち合わせなど業務に関係する『交通費』は必要経費になります。


通信費

アパート経営に必要な電話代や切手代などの『通信費』は必要経費になります。


情報収集費

アパート経営に必要な不動産賃貸業に関する知識や情報を収集するための新聞、書籍の購入など『情報収集にかかる費用』は必要経費になります。


消耗品費

アパート経営に必要な帳簿や文具、備品などの『消耗品費』は必要経費になります。


弁護士報酬、税理士報酬

アパート経営を行うにあたり、税金の処理や確定申告などを依頼する『税理士の報酬』は必要経費です。また、アパート経営に関する争いや民事上の問題を解決するために依頼した『弁護士に支払う報酬』は必要経費になります。


その他

その他、不動産業者に支払う仲介手数料や、建物の共用部分にかかる事業主が負担する水道光熱費など、『賃貸経営に必要となるもの』は必要経費になります。


アパート経営の経費に計上できないもの

私生活に関するものや、自宅に関する費用など私的なものは、アパート経営とは関係ないため、当然必要経費とはなりません。主に経費に計上できないものをみてみましょう。

ローンの借入金の元本

借入の利息は必要経費になりますが、借入金の元本は返済すべき負債であり、必要経費にはなりません。金融機関から利息証明書を取り寄せるなどして、利息と元本の内訳がわかるようにしましょう。


所得税や法人税

所得税や法人税は、経費になりません。その他経費にならない税金として、住民税や延滞税、加算税などの納税を適正に行わない場合のペナルティーに関するものがあります。


白色申告者の専従者への給与

青色申告者なら生計を同じくする、年齢15歳以上の配偶者や親族で一緒に仕事をしている場合、支払った給与を「青色事業専従者給与」として必要経費に算入することができます。この給与の金額の上限は、特に定められていません。

一方、白色申告者の場合は生計を一にする親族に支払った給与を必要経費に算入することはできず、「事業専従者控除」して、必要経費ではなく専従者1人につき一定額の控除が受けられる制度になっています。

控除を受ける専従者の要件は、青色申告専従者給与と同じですが、金額に上限があります。事業専従者控除の金額は、次のいずれか低い金額となります。

 1.事業主の配偶者は最大86万円、配偶者ではない親族は1人につき最大50万円

 2.控除をする前の事業所得の金額を専従者の数に1を足した数で割った金額

ここで気をつけなければならないのは、「青色申告専従者給与」も「事業専従者控除」もおおむね5棟10室以上の事業的規模で賃貸事業を行っている場合のみ適用されることです。


必要経費かどうか悩んだときの判断基準

時には、必要経費になるかどうか迷うこともあるかもしれません。必要経費になるかの基本は、「アパート経営に必要な費用かどうか」です。悩んだときの判断基準は、次の3つから考えるようにしましょう。


<判断基準のポイント>

 1. アパート経営に直接関係するもの

 2. アパート経営をする際に必要なもの

 3. 事業用の金額を明確に区別できるもの


自宅と賃貸住宅を併用している場合には、電気代や水道光熱費があいまいになることがあります。固定資産税も必要経費にできますが、賃貸併用住宅の場合はオーナーの自宅として使用する部分と賃貸する部分を按分して計算し、必要経費に計上することが必要です。

また、ガソリン代や電話料金など賃貸経営と、私生活に関するものを区別することが難しい場合には、領収書や明細をはっきりと分けて明確にできるようにしましょう。

アパート経営で節税可能な税金と経費を計上する方法

節税

必要経費を適正に計上することは、節税につながります。アパート経営で節税可能な税金の種類と経費計上のポイントを解説します。


アパート経営において節税可能な税金

アパート経営では次のような税金が節税可能です。

所得税

所得税額は、課税される所得金額に税率を乗じて計算します。そのため、必要経費が多くなるほど所得金額が少なくなり、税金が安くなるという仕組みです。サラリーマンでアパート経営をしている方は、不動産所得と給与所得を損益通算するので、以下のように計算します。


・不動産所得=家賃など不動産の総収入額-必要経費

・課税所得金額=(給与所得+不動産所得)-各種所得控除


給与収入がある方は、給与所得と不動産所得との合計金額から社会保険料控除など各種所得控除金額を引いて課税される所得金額を計算します。ここでポイントとなるのが減価償却費です。減価償却費は、前述したように現金の支出を伴わず、毎年計上できる経費になります。


住民税

住民税も所得税と考え方自体は同様です。ただ、所得税の計算とは異なり、所得割と均等割りの合算で計算されます。所得割は所得に応じて課税されます。所得税の各種所得控除とは、若干金額が異なりますが、所得割は所得に応じて計算するため、所得が少なくなるほど税負担が軽減します。


相続税

現金よりも貸家建付地としてアパートを相続するほうが資産の評価額が下がり、相続税の節税になります。

アパート経営が相続対策となる理由は、相続として取得した土地や建物の評価の違いにあります。現金を相続する場合には、額面通りに現金の金額が評価額となるため、例えば預貯金が1,000万円あれば1,000万円の評価額のままです。

しかし、土地は路線価方式や倍率方式、建物は固定資産税評価額で評価します。また、アパート経営に利用している土地や建物は、賃借人がいるため権利関係に応じた評価を調整し、評価額が減少します。

さらに、小規模宅地等の特例など一定の条件に該当すれば、より一層評価額を減らすことが可能です。相続税の評価が減少しても、アパート経営は安定した賃料収入を家族に残すことができる価値ある資産であることには変わりません。


固定資産税

固定資産税には、「住宅用地に対する課税標準の特例」があり、アパートなど住宅用地として土地を利用する場合には固定資産税が軽減されます。特に、手続きをする必要はありません。更地にしておくと軽減措置が受けられず固定資産税が高くなるため、土地を有効活用することで得られるメリットといえるでしょう。


【計算方法】

1.小規模住宅用地(200㎡を超える場合は1戸あたり200㎡までの部分)

  ⇒固定資産税評価額6分の1、都市計画税は3分の1で計算

2.一般住宅用地(200㎡を超える部分)

  ⇒固定資産税評価額の3分の1都市計画税は3分の2で計算


経費を計上するタイミングと計上方法

それでは、経費を計上するタイミングと計上方法を確認していきましょう。

計上のタイミング

必要経費に算入できるのは、『その年において債務が確定しているもの』です。減価償却費のように、債務の確定によらないものもありますが、債務が確定しているものはその年の経費になります。

その年に債務が確定しているものとは、次の3つです。


1 その年の12月31日までに債務が成立

2. その年の12月31日までに原因となる事実が発生

3. その年の12月31日までに金額が合理的に算定できる


つまり、その年に支払いをしても債務が確定していないものは必要経費にはできません。一方、その年に支払っていなくても支払うことが決まっているときは、必要経費になります。そのため、債務が確定したタイミングで必要経費を計上することが必要です。


計上方法

発生主義とは、お金の動きには関係なく、収入や支出の原因になる事実が発生した日で、収益や費用を計上する方法で、企業会計の原則です。特に、最高65万円※の青色申告特別控除を受けるには発生主義で帳簿を記帳することが求められています。

青色申告は、確定申告の際に複式簿記などで帳簿を記帳して申告する方法です。青色申告の記帳は、年末に貸借対照表と損益計算書が作成できるような、正規の簿記で記載しなければいけません。

一方、白色申告は青色申告をしていない方が申告する方法です。単式簿記が認められていますが、税法上の優遇措置は青色申告にはかないません。

※2020年度から「65万円の青色申告特別控除」を受けるための要件が変わります


経費計上のポイント

領収書は保管する

領収書は保存し、帳簿もためずに日々正確につける必要があります。経費計上のポイントは、領収書などで賃貸経営との関連性を示す客観的な証拠を残すことです。


修繕費の位置づけ

修理費用などは、修繕費として全額を必要経費に計上することが可能です。しかし、資本的支出として減価償却をすべきものがどうか判断に迷うことがあります。例えば、「1つの修理や改良などが20万円未満」「3年未満の周期で行う修理や改良」は修繕費にすることが可能です。

それでも判断できないときは、支出した金額が60万円未満の場合や、前事業年度終了時における資産取得価格の10%相当額以下の場合には、修繕費とすることができます。


収入支出が個人・事業用で混ざらないようにする

金融機関からの融資を受けて自宅兼賃貸併用住宅を購入する際、アパート経営に係る必要経費や返済額が明確に区分できるように、住宅部分と賃貸部分の2本に分けるのも効果的です。

収入や支出が私生活に関するものと事業に関するものと混ざらないように、私生活用とアパート経営用で預金通帳を使い分けることもおすすめします。


青色申告で申告する

帳簿の作成に手間はかかりますが、青色申告で確定申告することがおすすめです。青色申告特別控除や青色事業専従者給与、赤字を出したときに3年間繰り越しすることができる純損失の繰り越し、貸倒引当金などの税法上の優遇措置があります。


法人化する

不動産収入が多くなった場合には、法人化することも検討しましょう。個人の場合、所得税の税率は所得に応じて高くなっていきます。しかし、法人税は定率制のため、法人税を支払うほうが税率や低く節税になる場合があるのです。法人化すると、個人が受け取る収入は会社からの給与になり、社会保険に加入することで将来の年金を増やせるメリットもあります。

しかし、「決算事務など経理業務が煩雑になる」「税理士への報酬」「経営に関するコストの増加」などデメリットもあるため、慎重に検討しなければなりません。後継者の有無や税負担、相続対策など検討すべきことが多岐にわたるため、税理士や会計士などの専門家に相談のうえ、法人化することをおすすめします。


アパート経営を行う上で知っておきたい必要経費と税金

アパート経営を行うにあたって、必要経費と税金には密接な関係があります。必要経費にできるものとできないものを正確に把握し、税金に関する知識もしっかりと身につけましょう。シノケンならアパート経営開始後もお客様を全面的にサポートすることが可能です。

シノケンでは好条件の土地の選定からアパートの建築、入居者の募集や建物のメンテナンスまでお客様のご要望にそったアドバイスをさせていただきます。また、不動産税務に精通した税理士のご紹介も可能です。シノケンのネットワークをぜひ活用してください。



かじなおき

◆氏名

加治 直樹(かじ・なおき)


◆保有資格

1級FP技能士

社会保険労務士


◆主なキャリア

銀行に20年以上勤務し、融資及び営業の責任者として不動産融資から住宅ローンの審査、資産運用や年金相談まで幅広く相談業務の経験あり。在籍中に1級ファイナンシャル・プランニング技能士及び特定社会保険労務士を取得し、退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。現在は労働基準監督署で企業の労務相談や個人の労働相談を受けつつ、セミナー講師など幅広く活動中。中小企業の決算書の財務内容のアドバイス、資金調達における銀行対応までできるコンサルタントを目指す。法人個人を問わず対応可能で、会社と従業員双方にとって良い職場をつくり、ともに成長したいと考える。

年: 
2020
更新日: 
日曜日, 12月 20, 2020
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